2015年に相続税が改正され、それまで相続税を支払う必要のない人も相続税がかかってしまう可能性が高くなってしまいました。
最高税率も「55%」まで引き上げられての相続税の増税です。
相続税がかかってしまうかどうかを決めるボーダーラインとなるのが、「基礎控除」というものです。
改正前までは、「5000万円+1000万円×法定相続人の数」となっていましたが、改正により、「3000万円+600万円×法定相続人の数」となりました。
相続税の改正により、相続税を納めることになった相続人の数は、およそ10万人も増えたとのデータがあります。
基礎控除とは
例えば、法定相続人が2人の場合、「3000万円+600万円×法定相続人の数」となって、基礎控除は4200万円となります。
預金3000万円あるけど、基礎控除の範囲内だから相続税はかからないと安易に判断してはダメです。
宅地などの不動産はありませんか?
もし、不動産の評価が2000万円だとしたら・・・。
不動産は路線価を使って評価を行いますが、近年、路線価は上昇していますので、注意が必要です。
相続で、宅地などの不動産によく使う優れた制度、「小規模宅地等の特例」というものがあります。
小規模宅地等の特例で80%オフ
例えば、賃貸住宅に住んでいて預金5000万円を保有しているAさんと、路線価5000万円の土地を住まいとしているBさんではどのような違いが生まれるでしょうか。
それぞれ基礎控除は4200万円とします。
AさんもBさんも基礎控除を超えてしまいますね。
でも、Bさんの保有する土地について、小規模宅地等の特例が適用となれば、80%の評価減となります。
つまり、5000万円の土地がマイナス4000万円となって1000万円の評価となるのです。
バーゲンセールみたいですね。
小規模宅地等の特例は、さまざまな要件を満たす必要がありますが、とても優れた制度です。
生命保険を活用した相続税対策
法定相続人が2人の場合、基礎控除は4200万円という事例を想定します。
預金として5000万円があった場合、基礎控除を超えてしまいますね。
でも、預金として4000万円、生命保険として1000万円の場合はどうでしょうか。
生命保険は、基礎控除とは別枠で、「500万円×法定相続人の数」が非課税となります。
すると、法定相続人が2人分の1000万円の非課税枠が増えることになりますね。
結果、5200万円まで非課税となります。
ただし、注意が必要です。
保険契約が、
- 契約者:A
- 被保険者:A
- 受取人:C
になっていればよいのですが、
もし、
- 契約者:A
- 被保険者:B
- 受取人:C
となっていた場合、
相続税対象とならないので注意が必要です。
相続手続の依頼を受けることが多いので、例えば「母が相続税対策のために保険に入ってました」といって、保険証券を見せて頂くことがあります。
でも実際は、相続税対策になっていない保険契約になっていることが少なくないのです。
もし、相続税対策のために生命保険を勧められて入っている人がいましたら、確認してみてくださいね。
・・・・・
こんなこともありました。
遺言書作成の依頼を受けて、資産目録を作成していたところ、相続税対策のための生命保険の証券がたくさん出てきたのです。
まさかとは思いましたが、生命保険の非課税をかなり超えている金額でした。
危険!相続でよくある勘違い
例えば、闘病生活が長くて本人の預金を配偶者などの家族が管理しているような場合ですが、本人が危篤状態になってしまったときに預金を引き出して現金化するというものです。
本人が亡くなってしまう前に、預金通帳から引き出してしまえば、それは相続にならないという思い込みです。
これは間違いです。
他には、本人が、家族の同意を得ることなく勝手に、子どもや孫の名義で預金通帳を作って、本人の財産をその通帳で預金管理しているというものです。
本人と違う名義であれば、それは相続にならないという思い込みです。
名義預金と言われますが、これも間違いです。