お金で買えないものはないというほど何でもお金で買えてしまう時代になりましたが、お金があれば「幸せ」も買えてしまうのでしょうか。
お金があるだけで必ずしも幸せになれるわけではないけど、お金があることで「不幸」を回避することが出来ると言われたりします。
確かにそうかもしれませんね。
損害賠償や慰謝料など、最終的にはお金で解決するというルールがありますから。
お金はないよりもあった方が便利ということになりますが、お金が沢山あればそれでいいという訳でもないですよね。
もし、幸せになるためにお金を増やさなければならないと考えると、永遠に無限に増やしていく必要があります。
いや、永遠に増やさなくても1億円くらいあればそれでいいよと思う人もいるかもしれませんが、実際その1億円を手にしたらどうでしょう、それで十分とはいかなくなってしまうはずです。
人生においてお金を増やすことも大切ですが、それよりもお金の使い方が大切ではないでしょうか。
お金がいっぱいあれば幸せになる?
幸せになるために一生懸命に勉強していい大学に入って、いい会社に入って・・・と、収入面に目が行ってしまいがちですが、最近の研究ではお金を増やしてもより幸せになれるわけではないことが示されています。
例えば、収入が2倍になれば単純に幸福感も2倍になるように思ってしまいそうですが、そうでもないということですね。
目指すべき年収は750万円!?
年収750万円を超えると、それ以上稼いでも日々感じる幸福感に全く影響が表れないという研究結果があります。
これは、ノーベル経済学賞を受賞した行動経済学者のダニエル・カーネマン氏らの研究によるものです。
幸せになるためには必ずしも年収1000万円以上を目指す必要がないということです。
お金を稼いで増やすよりも、お金を何に使うか、何を買うかということが大切になってくるという根拠とも言えそうですね。
それでは、私たちはどのようなお金の使い方をしていけば幸福感が上がっていくのでしょうか。
ありがちなブランド品とかではないことは確かですね。
幸せになるためのお金の使い方として、次の3つをお勧めしたいと思います。
- 経験を買う(自己投資をする)
- 時間を買う
- 他人へ投資をする
モノではなく「経験」を買おう!
自分へのご褒美として、ブランド品を買うことが私の幸せですという人もいるかもしれません。
私も若いときにブランド品に憧れた時期がありました。
実際、ブランド品は私を幸せにしてくれました。
しかし、それはブランド品を買って手に入れた瞬間だけでした。
欲しかったはずの物を手に入れた瞬間から幸福感は下がっていくだけで、数年後にはどうしてこんなに欲しかったのかさえ分からないという感じにさえなってしまったのです。
皆さんもこんな経験ってありませんか?
物質的な豊かさを求めて「モノ」を買うのではなく、経験(自分への投資)を買うべきです。
「物質的な豊かさが幸せではない」ということに早く気付かないといつまでもお金を増やさなければならないという強迫観念にかられてしまいます。
夢のマイホーム購入で幸せになれる?
マイホームはブランド品とかではないし、購入したらきっと幸せになれるはずと思ってしまいそうですが、必ずしもそうではないようです。
マイホームに住み始めてから5年間くらいは満足度は高いままのようですが、生活全体に対する幸福感はそれほど向上しないという調査結果があります。
マイホーム購入による幸福感は人それぞれかもしれませんが、住宅ローンという足枷によって幸福感はプラスマイナスゼロになってしまうことも多いのではないでしょうか。
人生最大の「後悔」になってしまうもの
人生の最期に、最大の後悔は何かと聞かれて「やらなかったこと」という話があります。
つまり、人はやったことの後悔よりもやらなかったことの後悔がとても大きいということです。
お金の使い方でも後悔してしまうことが少なくないですが、物質的なモノの買い物と経験の買い物でその違いが表れます。
物質的なモノの買い物の場合、買わなければよかったと後悔するのに対し、経験の買い物の場合、買えばよかった(行動に移せばよかった)と後悔することが多いのです。
経験を買うというのにどのようなものがあるかというと、代表的なものとして「旅行」があります。
旅行といっても、長期間かどうかは関係ありません。
日数が長いか短いかで幸福感に影響しないという研究結果があるからです。
それまでの準備や下調べなどで旅行に行く前の日常生活でも幸福度が上がり、旅行中も幸福度を大きく、旅行から帰ってからも幸福度は上がり続けます。
物質的なモノを買う場合、モノを手に入れるまでに時間を労力をかけても、一旦自分の所有物となってしまうと幸福感や価値が一気に下がってしまうのに対し、経験を買う場合、長い間幸福度が高いまま続くということです。
時間をお金で買う
コロナ禍でテレワークが増えた人も多いのではないかと思います。
実際、通勤日数が少なくなってよかったと感じている方は少なくないのではないでしょうか。
通勤に長い時間を費やしている人ほど、人生に対する幸福度は低くなるという研究結果があります。
片道の通勤で1時間かかってしまうと、幸福感として失業するのと同程度のネガティブなインパクトがあると言われています。
家賃が安いからといって、職場から遠く離れたところに住むのはお勧めできないということです。
「物質的な豊かさが幸せ」と勘違いしてしまうと、物質的な豊かさを求めすぎて、自由な時間を犠牲にしてしまうことになってしまうので、要注意です。
しかしながら、時間を買うというのは意外と難しいです。
将来の時間は無限にあるように思えてしまうので、時間を大切にすることは訓練が必要になってきます。
タイムイズマネーと考えるというのも一つの方法ですが、幸福の観点からは弊害があるようです。
「時間はお金」と見るようになってしまうと、実際にはお金に換算できない日常生活の楽しみ、ムダな時間から幸せや喜びを見出すのが難しくなってしまうからです。
自分の時間を売ってお金にするのではなく、お金で時間を買うことを意識することが大切になってきます。
時間をどのように買うかは人それぞれですが、育児にかける時間を買って幼稚園や保育園を利用したり、家事に割く時間を買って家事代行サービスなどを利用するのもその一つだと思います。
やってはいけないのは、こっちのスーパーが安いからといって、遠くまで買い物に行ってしまうことですね。
他人へ投資してみよう!
こんな実験があります。
10ドル(およそ1000円)を渡して今日中に、自分のために使う、または誰かのために使うというものです。
他人である誰かのために使った人の方が幸福感が高かったという結果になったそうです。
他人への投資は健康にもいい!?
同じように10ドルを渡して、今度はいくらかを自分のものにする、いくらかを他人へあげるという実験で、コルチゾールというストレスに関係するホルモンを測定したところ、いくらを自分のものにするかといったときに数値が上がったとの結果があります。
このようなことは何も実験をしなくても何となく分かりますよね、他人のために何かしてあげたときに気分がよくなる、つまり幸福感を得られると。
しかしながら、ダイエットと同じで、頭では分かっていても行動に移すことができないのではないでしょうか。
他人のために意識しながらお金を使うことが出来れば、さらに幸福感もアップするはずです。
賢く「幸せ」をお金で買う方法
お金がいっぱいあれば幸せになれるかというと必ずしもそうではなく、お金の使い方を知らずにお金をいっぱい持って不幸になってしまうこともあります。
私たちは、幸せになるために間違ったお金の使い方をしてしまっているのではないでしょうか、無意識のうちに。
もしくは、物質的な豊かさを買うことが幸せにつながると信じ込んでしまっているのかもしれません。
お金で経験を買い、自己投資を行って、お金で時間を買って、他人へ投資する、このすべてが出来れば、それなりの幸福感が得られるはずです。
一番カンタンなのが、「旅行」や「勉強」ではないかと思います。
社会人になってからの勉強は大変かもしれませんが、勉強するかしないかで学生時代の勉強以上に差が出るように思います。
私の場合ですが、子どもにモノ(おもちゃ)をなるべく買わないようにして、ボートに乗ったり、旅行したりと経験を買うように意識しています。
他人への投資と言えるほどではないですが、毎月10ドル程度を子どもの教育団体に寄付したりと幸福感を上げるためにお金の使い方を工夫しています。
皆さんも、是非毎日のお金の使い方を意識して、幸福感が上げるための試行錯誤をされてみてはいかがでしょうか。
きっと、今よりも幸福感がアップする賢いお金の使い方が見つかるはずです。
参考文献
「幸せをお金で買う」5つの授業/エリザベス・ダン、マイケル・ノートン著/株式会社KADOKAWA