保険を売らないFPが、主に生命保険、医療保険について説明します。保険は知らないと確実に損をしてしまいますので、保険の知識を身につけてください。
保険の見るべきポイント
生命保険であれ、医療保険であれ、どのような保険でも「見るべきポイント」さえちゃんと押さえておけば大丈夫です。
保険期間
どのような保険でも、保険期間が決まっていて、いつまで保障となるかを知っておくことが大切です。
よくあるのが、月々の保険料安さに飛びついてしまうというケースです。保険料だけに目を取られてしまって、保障が一生涯続くものと勘違いをしてしまうことがあります。
保険料も大事ですが、まずはいつまで保障が続くのか、「保険期間」を見てください。
保険期間は、大きく分けると、その保険期間が限られている「定期」と、保険期間が一生涯の「終身」になります。
だいたいこんな感じの表記になっています。
- 定期保険の場合:「■■歳まで」、「■■年間」
- 終身保険の場合:「終身」、「一生涯」
保障がいつまで続くのか「保険期間」を確認する
保険料の払込期間
先ほどの保険期間と同じで、月々の保険料だけを見てしまいがちですが、「保険料をいつまで払い続けるのか」を確認しておかなければいけません。
ほとんどの場合、保険期間と同じになっていて、保険期間が「■■歳まで」となっていれば、保険料の払込期間も同じく「■■歳まで」となります。
では、保険期間が「終身」の場合はどうかというと、保険料の払込期間は必ずしも「終身」ではなく、保険料の払込期間だけ「■■歳まで」とすることが出来ます。
なので、例えば保険料の払い込みは60歳までにして、保障は一生涯の終身とすることができます。こうしておくことで、老後の保険料支払負担をなくすことが可能です。
保険料の支払がいつまで続くのか「払込期間」を確認する
保険料の払込方法
保険料の支払は、「月払」であることが多いと思いますが、少しでも保険料を安くしたいと考えるなら、「年払」をおすすめします。若干ですが、割引がきいているからです。
さらに、可能であればクレジットカード払、いわゆる「クレカ払」をおすすめします。
例えば、月1万円の保険料を支払っていくとすると、年間12万円、30年間で360万円にもなってしまうので、少しでも安くしたいと考えるのであれば、「年払・クレカ払」がベストですね。
貯蓄性の有無
保険の多くは、保険料を支払って掛捨てになってしまうタイプですが、貯蓄性のある積立て型もあります。
どちらがいいかはその人の好みもあるかと思いますが、「保険」という目的に照らすと「掛捨て型」を選ぶべきです。
保険料が「掛捨て型」か、「積立て型」かを確認する
生命保険
生命保険に入る目的といえば、「死亡保障」になります。万一の際に、経済的な損失が生じてしまった家族のために必要となります。
生命保険の基本となる保険は、以下の3つになります。
収入保障保険
収入保障保険の特徴は、被保険者(保険を掛けられている人、例:ご主人)が亡くなった場合に、保険金15万円、20万円とかの金額を毎月受け取れる保険です。
保険金を受け取れるのは、死亡から保険期間満了までとなりますので、死亡時の年齢によって受け取れる保険金の合計額は異なります。
例えば、保険期間を60歳までとして、保険金額を月15万円とすると、
30歳で死亡した場合:15万円×12か月×30年=5400万円
となりますが、
50歳で死亡した場合:15万円×12か月×10年=1800万円
となって、死亡した時点の年齢が高くなればなるほど、受け取れる保険金の合計額が小さくなります。
どうしてこのようになっているかと言うと、30歳までに得た収入総額と50歳までに得た収入総額はそれぞれ違うからです。
30歳で亡くなってしまったということは、本来稼ぐべき収入を得られなかったということですから、その分は保険で保障するという考え方です。
死亡定期保険
死亡定期保険は、収入保障保険と似ているものです。収入保障保険は形が三角形なのに対して、死亡定期保険は四角形です。
どういうことかと言うと、収入保障保険は死亡した時点の年齢によって、受け取る保険金の合計額が違いましたが、死亡定期保険は死亡した年齢に関係なく一定ということです。基本的に、収入保障保険のように分割しての毎月受取ではなく、一括受取です。
死亡終身保険
死亡終身保険の特徴は、そのとおり「一生涯の保障、終身」なので、死亡しない人はいないため、必ず保険金が受け取れることです。
そのため、相続対策に利用されることもあります。
死亡しなくても高度障害で同額の保険金が受け取れるものもあります。
どちらかと言うと、万一の保障というより、貯蓄性があるので、保険金を受け取るよりも解約返戻金が目的というのが少なくないです。
生命保険のまとめ
貯蓄性 | 保険料 | |
収入保障保険 | なし | 安い |
死亡定期保険 | なし | 安い |
死亡終身保険 | あり | 高い |
●保険料の比較 収入保障保険 < 死亡定期保険 < 死亡終身保険
●万一の死亡保障として選ぶなら ⇒ 収入保障保険
医療保険
医療保険に入る目的は、もちろん万一の際の医療費を確保することです。多くの方が入っている保険だと思いますが、勘違いしてされていることも少なくありません。
大きく分けて、終身型と定期型の2つがあります。中には、健康祝い金などお金が戻ってくるタイプもあります。
医療定期保険
医療定期保険は、保障期間が限られているものです。他の医療保険と比較して保険料が安い場合は、この医療定期保険であることを確認しておくとよいです。
最初の契約時点での保険料は安いかもしれませんが、保険期間満了に伴って、更新をすると保険料が上がってしまいます。
保険料は、年齢で決まってしまうと言っても過言ではないので、特に理由がなく医療保険に入りたいと考える場合は、医療定期保険ではなく、医療終身保険を選んだ方がよいと思います。
医療終身保険
保険商品として一番多いのが、医療終身保険です。
そして、ちゃんと理解されずに多くの人が入ってしまっている保険でもあります。
「保障は一生涯」というだけでなく、「保険料の支払も一生涯」だったりしていたりと、特約の保障内容を理解しないまま、あれこれと付けてしまったりと。
見直すべき保険として多いのも、この医療終身保険です。テレビCMも多いですね。
医療保険のまとめ
どうしても医療保険に入るなら、医療終身保険。
健康祝い金などがもらえる保険は、保険料も高い傾向にある。
選んではいけない保険
私からすると、ほとんどの保険が「選んではいけない保険」になってしまいそうなので、今すぐにでも見直し・解約すべき保険を「選んではいけない保険」というものに分類して、そこまでではないけれど、入るべきではない保険を「必要がない保険」というように分類してみました。
定期保険特約付終身保険
定期保険特約付終身保険は、名称の最後が「終身保険」となっていることから多くの人が終身保険と思い込んでいたりしますが、全く違うので注意してください。
定期保険特約付終身保険は、終身保険に数多くの定期保険が特約と付いているもので、非常に分かりにくいです。
ちないに、定期保険特約付終身保険に入っている人で保障内容をすべて理解している人は一人もいませんでした(笑)
終身保険よりも定期保険の内容が濃く、契約時点では月1万円くらいの保険料で設計されていることが多いですが、契約更新を重ねていくと、月3万円、5万円・・・となって、最後は保険料を支払えないから解約することになってしまいます。
もし、定期保険特約付終身保険を契約更新して60歳くらいまで継続していくと、支払保険料の総額は1000万円くらいにはなります。
利率変動型積立終身保険(アカウント型保険)
定期保険特約付終身保険と同じで、終身保険と定期保険が混在していて非常に分かりにくい保険です。
「アカウント」という積み立て部分と特約として定期保険が一緒になっている保険ですが、終身保険部分はあってないようなものですので、名称に「終身保険」と付けているのはいかがなものかと思ってしまいます。
こちらも、定期保険特約付終身保険と同様に、支払保険料の総額は高額になります。
選んではいけない保険の共通点
- どちらの保険商品も、取り扱っている保険会社は「●●生命保険」と「すべて漢字」になっています(●●の部分に漢字だけが入る)例:日本生命、明治安田生命、住友生命など
- 上記の例外として、かんぽ生命
- どちらの商品も、パンフレットから消費者が選ぶのではなく、営業担当者が設計する
- 最初の契約時点の保険料は、だいたい月1万円で設計されている
必要がない保険
医療保険
日本では社会保険制度が充実しているので、とりわけ民間の医療保険に入らなくても大丈夫かと思います。例えば、高額療養費制度がありますし、会社員の場合だと傷病手当金もありますので。
どうしてもという人は、医療終身保険がいいと思いますが、お金を増やしたいのなら、あまりおすすめはしません。
やめておいたほうがいいというのは、健康祝い金などの特約がある医療保険です。一見すると、お得なようですが、そうではないので。
保障と貯蓄を分けるというのが原則です。
学資保険
教育資金といえば、学資保険という時代はもう終わっています。それでも、学資保険をきっかけに保険を売りたい営業の人は、「貯金よりおトクです」といって、学資保険をすすめてくるかもしれません。
学資保険のランキング調査を独自にしてみましたが、高くても「110%」を超えるものはありませんでした。110%は高いと思ってしまうかもしれませんが、受け取るまでに20年近くかかっての110%なのです。
これをどう評価するのかはそれぞれかもしれませんが、あくまでも保険は保障を買うもので、貯蓄をする時代は終わっています。
個人年金保険
老後資金の準備といえば、個人年金保険という時代も学資保険と同様に終わっています。
おそらくもうすぐ「個人年金保険」という保険商品が世の中から消えてしまうのではないでしょうか。それほど、金利が低くて増やせない、保険会社にとってメリットもないということだと思います。
ですが、中には「今、個人年金保険に入らないとなくなってしまうよ」と理解不能な営業をしているというのも耳にしています。
「入れなくなってしまう」という心理を利用した営業だと思いますが、それは「チャンス」ではなく「リスク」になってしまうので、検討している人はやめましょう。
最後に
保険という金融商品は、売り手となる保険会社、営業担当と、買い手となる消費者との間に大きな情報格差があります。
そのため、深く理解せずに保険に入ってしまうということ少なくないと思います。でも、それによる経済的な損失は計り知れません。
保険の無料相談は、言い換えると、「無料営業」です。
通常、営業をするにはそれなりの経費が掛かってしまいます。でも、保険の無料相談は、お客さんの方から勝手に相談しに来てくれるのです。業界ではカモネギ状態と言われたりします。
無料相談とはどのようなことを意味するのか、今一度考えて、「賢い消費者」になってください。
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