よくドラマにも出てくるような事例についてお伝えしたいと思います。
「相続のあるある」ですね。
登場人物は、父、母、長男、長女の4人です。
アイキャッチ画像は、法定相続分のイメージですので、それとは異なります(笑)
父が亡くなったときの相続で、母が住宅と預金の3分の2を相続し、長女が預金の3分の1を相続しました。長男は、何も相続しませんでした。
本来であれば、母がすべて相続する予定だったのですが、このとき長女は子どもの大学進学などでお金を必要としていました。
そして、長女は、長男を説得する際に、母の相続のときは何も相続しない、つまり予め母の遺産については相続放棄をすることを約束し、念書まで用意しました。
その10年後、母の相続が開始しました。
さて、長男がすべてを相続することができるのでしょうか?
生前の相続放棄はできない
つまり、長男がすべてを相続することはできません。
長女が、念書に書いたとおりに相続をしないという意思があれば別ですが。
なので、長男と長女で遺産分割をすることになります。
相続放棄は家庭裁判所に申述する必要がある
そもそも、相続放棄は、口頭や書面で「相続放棄します」と述べるものではありません。
相続放棄をするには、相続の開始後、家庭裁判所に申述して受理してもらう必要があります。
よく、遺産分割協議の結果、相続しなかった場合に「相続放棄した」という人が少なくありませんが、それは相続放棄ではありません。
相続トラブルを回避するために遺言書は必須
このように、生前の相続放棄は認められていません。例え、念書など書面にしてあったとしてもです。
相続が開始していないので、そもそも生前の相続放棄はできないということを知っておきましょう。
そして、相続する遺産に住宅や預金などがあった場合や相続する割合が異なることが想定される場合は必ず遺言書の作成をお願いしておきましょう。
遺言書は、遺産を遺していく立場の人が受け取る人のことを想って準備しておくべき重要な人生最期の書類です。
とはいっても、遺言書は何度でも作成し直しが出来ますので、5年に一度くらいは見直しをおすすめします。