普段「貯金」しかしていない投資の初心者のために、リスクのある投資がどうして必要なのかを、例えば「老後資金」を例にして、様々な角度からお伝えしています。
投資、資産形成が必要とされる理由
人生100年時代となった今、投資は、「した方がいい」から「しなければならない」にその必要性が変わってきていると思います。
英語で言うなら「should 」から「must」へ。
「格差拡大」というのもその理由の一つです。
逆に言ってしまうと、「なぜ、貯金ではダメなのか」、その理由についてお伝えした方が分かりやすいかもしれません。
貯金ではダメな理由(1)
例えば、月3万円を貯金して20年間で教育資金を準備するとします。
月3万円×12か月×20年 ⇒ 720万円
もちろん、貯金なので「元本割れ」をすることはありませんよね。
ところで、20年間でどれだけ物価が上がっていくでしょうか?
今、マヨネーズやパスタなど値上がりしていますよね。
日本はデフレで、インフレにはならないから大丈夫と考えていたとしても、ほぼ確実に上がっていきそうなものがありますよね、
「消費税」です。
今と同じ金額では20年後に「同じ買い物」はできないと言えそうです。
ということは、貯金ではお金そのものが「元本割れ」はしなくても、お金の「価値割れ」をしてしまうことになります。
20年後に「同じ買い物」をするためには、お金は今よりも増やしていかなければいけないですから。
よく「貯金ではお金が減る」と伝えていますが、正しく言うと「お金の価値」、「交換価値」が減るということです。
貯金ではダメな理由(2)
もう一つの理由ですが、ざっくり言うと、「世の中のお金がどんどん増えている」ということです。
単純に言ってしまうと、増えたモノ、量が多いモノの価値はどうなるかです。
大好きな秋刀魚ですが、漁獲量が多くなると安くなりますし、少なくなると高くなります。
「お金」についても同じことが言えそうではないかと思います。
もちろん、調整されているので、秋刀魚のようにはなりませんが(笑)
これでは、「貯金がダメ」と言い切れないかもしれないので、「貯金ってどういうことか」を考えてみましょう。
銀行にお金を預けること
ではありません。
銀行に対して、「お金を貸す」こと
です。
金利たったの0.001%で(少数にすると、0.00001)
銀行はそれを住宅ローンなどの高い金利で貸し付けを行います
変動金利だと、0.5~1.0%くらいで
さらにそれだけではなく、株式や債券(国債)などを買って投資していきます。
なので、貯金は結局、投資になっているということです。
だから、貯金をしてはいけないというのではなく、「貯金は必要最低限」にして、取れる範囲のリスクで「投資をしていく」ことが大切ということをお伝えしたいと思います。
思うのは、世の中すべて「投資」で成り立っているということです。
今、子どものために支払っている教育費は、将来に向けた「投資」であると思います。
将来、暴落して欲しくないですね(笑)
「投資」は100万円、200万円などのまとまったお金である必要はありません。
貯金のように月1万円、2万円でスタートすることができます。
「リスクを取らないこと」がリスクとなる時代
みなさんは、「リスク」を取っていますか?
「リスク」って通常は回避するものという認識が強いように感じてしまいますよね。
私も20年くらい前まではそう思っていました。
それが変わってきたのは、25歳くらいのときです。
ちょうど、それまで積み重ねてきたものをすべて捨てて、弁護士事務所に転職した時期です。
格差は拡大していく
トマ・ピケティさんって、知っていますか?
フランスの経済学者ですが、何年か前に「21世紀の資本」が出版されて話題になりました。
1971年生まれの若い学者さんです。
是非、読んでみてくださいね。
600ページを超える本です(笑)
これによると、「格差は拡大していく」というのです。
これだけを聞くと、富裕層と一般との格差拡大と思ってしまうかもしれませんが、それだけではなさそうです。
それは、「会社員同士の間」でも起こってしまうのです。
rとgが示す会社員同士に生じる格差
「会社員同士の間」でも起こってしまう格差、そのことを「 r g 」が示しています。
トマ・ピケティさんが見出した格差拡大の要因です。
「 r > g 」
「 r 」は、資本収益率です。
「 g 」は、経済成長率です。
置き換えると、
資本収益率 > 経済成長率
となります。
これを、超カンタンにいってしまうと、
株式や不動産などのリスク資本の上昇率 > 賃金上昇率
となります。
もっと、ざっくりというと、
投資による収益 > 労働による収益
となります。
とはいえ、働くのをやめて投資していきましょうということではないです。
金額にすると2000万円近くもの差に
のび太君、スネ夫君、ともに30歳の会社員がいたとします。
全く給料は同じという条件です。
• のび太君:無難に、月3万円を60歳まで「貯金」する
• スネ夫君:当然に、月3万円を60歳まで「投資」する(年6%)
30年後・・・ともに60歳で定年退職となりました
それぞれの資産はどうなっているかというと、
• のび太君:1080万円
• スネ夫君:3013万円
ということに、なっていてもおかしくないのです。
誰もが「資産家」になることはできませんが、会社員で働きながらでも「資本家」にはなれるので、格差拡大の波に飲み込まれないように自助努力をしていきましょう。
そして、のび太君のように「取るべきリスク」を取らないと、それ自体がリスクになってしまう時代になってしまっているのです。
老後資金はいつから貯めるべき?
「老後資金はいつから貯めたらいいですか?」という質問が多いです。
老後に向けて毎月貯蓄していくことの大切さは分かるけど、なかなか出来ないというのが現状なのではないでしょうか。では、老後のための貯蓄はいつから始めていけばいいのか、ざっと計算してみます。
65歳までに老後資金2000万円を作りたい場合
・25歳からスタート
毎月4万1700円・・・・・(40年)・・・・・2001万6000円
・30歳からスタート
毎月4万7700円・・・・・(35年)・・・・・2003万4000円
・35歳からスタート
毎月5万5600円・・・・・(30年)・・・・・2001万6000円
・40歳からスタート
毎月6万6700円・・・・・(25年)・・・・・2001万円
・45歳からスタート
毎月8万3400円・・・・・(20年)・・・・・2001万6000円
・50歳からスタート
毎月11万1200円・・・・(15年)・・・・・2001万6000円
となって、25歳から貯蓄をスタートすれば、毎月4万1700円を貯めていけば目標達成しますが、50歳からのスタートになってしまうと、毎月11万1200円を貯めていかないと達成できません。
計算結果から分かるように、スタートが遅くなればなるほど毎月の貯蓄額が大きくなります。
50歳となると、住宅ローンの返済やら子どもの教育費などもありますから、毎月11万1200円を貯蓄していくというのは容易ではありませんよね。
なので、「老後資金はいつから貯めるべき?」という質問に対する答えは、
「今でしょ!」
ということになります。
老後資金を不安に思った、「そのとき」がスタートのタイミングです。
早くスタートすればするほど、毎月の貯蓄額が低くできるので、負担が少ないですから。
とはいっても、「毎月4万円とか無理」という声も聞こえてきそうですし、もう遅いから老後資金の貯蓄をあきらめようと思ってしまう方もいるかもしれません。
そこで、40歳、50歳からでも間に合う「老後資金の賢い貯蓄方法」をお伝えしたいと思います。
投資で65歳までに老後資金2000万円を作りたい場合
貯蓄方法が「貯金」では目標達成が難しいので、「投資」による解決を図ります。
超カンタンに言ってしまうと、お金の預け先を「銀行」ではなく「証券会社」に変えるだけです。
例えば、年6%で資産形成をして、65歳までに老後資金2000万円をつくりたい場合
・25歳からスタート
毎月1万0043円
・30歳からスタート
毎月1万4038円
・35歳からスタート
毎月1万9910円
・40歳からスタート
毎月2万8860円
・45歳からスタート
毎月4万3286円
・50歳からスタート
毎月6万8771円
となって、25歳からスタートすれば、毎月1万円ちょっとの積立で目標達成できてしまいます。
50歳からのスタートでも毎月7万円弱の積立で老後資金2000万円が可能になってきます。
投資、資産形成のポイントは「時間を味方にする」こと
資産形成のポイントをお伝えします。 それは、「時間を味方にする」ということです。
先ほどのように、資産形成は、早くスタートすればするほど有利になります。
例えば、教育資金の場合でも、月2万円を積み立てて準備していくと、
• 19年後、847万円
• 20年後、924万円
たった1年早くスタートするだけで、77万円もの差がつきます。
もし、これが「貯金」の場合だと、1年で24万円の差にしかならないですよね。
同じように、老後資金を「資産形成」で、月2万円を積み立てて準備していくと、
• 29年後、1869万円
• 30年後、2009万円
たった1年早くスタートするだけで、140万円もの差がついてしまいます。
長期間になればなるほど、その差は拡大していく一方です。先ほど、お伝えした「格差拡大」と同じですね。これが、「時間を味方にする」ということです。
資産形成を早くスタートすれば有利になるという根拠であり、「今、投資をしなければならない理由」でもあります。 「投資」「資産形成」は100万円、200万円などのまとまったお金である必要はありません。 貯金のように月1万円、2万円でスタートすることができます。