銀行などの金融機関から、イデコは節税にもなって預金よりもお得ですよと、イデコの利用を案内された方は少なくないのではないでしょうか。
イデコは、元本割れリスクのある投資信託で運用する「元本変動型」だけじゃなく、元本割れリスクのない定期預金や保険で運用する「元本確保型」もあるから初心者の方でも安心ですよという話とか。
実は、イデコ・個人型確定拠出年金にある「元本確保型」、これって「元本保証」とは別物って理解されていますか?
iDeCoには元本確保型と元本変動型がある
イデコって何?という人のために、ざっくり解説します。
イデコ・個人型確定拠出年金は、運用していく金融商品を自分で選択する必要があります。
イデコには運用する金融商品が大きく分けて2つあります。
- 元本割れリスクの低い「元本確保型」
- 元本割れリスクのある「元本変動型」
初心者の方に多いのは、損をしたくない気持ちが強いことから元本確保型を選んでしまいがちのようです。
しかし、イデコを利用するそもそもの目的って何でしょうか。
そうです、自分で年金を作るということですね。
元本確保型を選んでしまうと、用意できる年金、老後資金に限界が生じてしまいます。
しかも、せっかくイデコを利用しているのに運用益に対する非課税効果のメリットが十分に得られないのです。
一方、元本確保型のメリットともいうべき安心感があります。
定期預金の場合は、預金保険制度の対象となっていて金融機関に万一の場合があったとしても1000万円とその利息までは保護されるようになっています。
また、保険の場合は、保険会社が破綻しても生命保険契約者保護機構の対象となっています。
元本確保ってどういうこと?
元本確保型には具体的な商品として「定期預金」と「保険」があります。
元本確保型の特徴として、元本割れのリスクが低いというメリットがあります。
えっ、それなら安心じゃないの?と思ってしまうかもしれませんが、注意が必要です。
元本保証はいつでも、どんなときでも元本が保証されますが、元本確保は、元本保証とは別物で、「償還日や契約満期に限って元本を払い戻す」ということです。
逆に言うと、契約期間中の中途で解約する場合には、元本を保証しませんということになって、中途換金時に元本割れした状態で払い戻される可能性があるということです。
保険で考えると分かりやすいですね、払込満了までに解約してしまうと元本割れした解約返戻金しか戻ってこないという感じです。
だったら、満期まで換金せずに積立をしておけば安心じゃないの?となりますよね。
でも、元本確保型にはまだ落とし穴があるんです・・・
イデコに必要な手数料、コスト
イデコを利用するには、少なくとも加入時手数料と口座管理手数料が必要になります。
加入時手数料は、国民年金基金連合会に対する一時的なコストとして、2,829円が必要です。
口座管理手数料は、次の3つに分かれ、毎月の掛け金から控除されます。
- 事務手数料 年間1,260円
- 資産管理手数料 年間792円
- 運営管理手数料※ 年間4,620円(大手銀行)
※運営管理手数料は、金融機関によって異なります
加入時手数料は一時的なので別としても、イデコを利用するのに年間で、合計6672円のコストが必要になります。
元本確保型はお金を増やすには適していない?
毎月2万円を拠出して、定期預金(年利率0.01%)で運用するとします。
年間で24万円が積立てられ、ざっくり計算しても利息は24円にしかならず、24万0024円ということになります。
先ほどの手数料を差し引いてみると、
24万0024円-6672円=23万3352円
なんと、6648円のマイナスとなってしまいます。
低金利による手数料リスクというべきでしょうか、元本割れですね。
でも、儲かった人がいます。
そうです、銀行などの金融機関ですね。
勘のいい方はピンとくるかもしれませんが、銀行などの金融機関に相談したり、案内されたりした場合、元本確保型を選択することになる可能性が高いということです。
もし、特別な理由なく元本確保型で運用されている方は、運用成績を確認するなどして、一度考え直してみるのも悪くないのではないでしょうか。